靴下にインソールの機能を
2020年。 カーボンプレートが「反則ではないか」と議論されていた頃、 僕はスピードスケートのシューズをチューニングしていました。 スケート靴は、靴底だけでなく、 アッパーまでカーボンで作られています。

それを見ながら、 「陸上シューズも、アッパーまでカーボンを使えばいいのに。」 そんなことを考えていました。 そして、そのとき一つのアイデアが浮かびました。 足を包むインソールです。
足の甲まであるインソール

足の裏のおよそ半分は、 足指と、 その延長にある中足骨で構成されています。

そこで考えたのが、 足裏の形に合わせて支えるだけでなく、 足指が動く方向そのものを考えること でした。
足指の位置が変われば、足部の形も変わります
足指の骨の位置や回転方向が変われば、 その延長にある中足骨の位置関係も変わります。 つまり、 足指から足部全体の構造を考えることができます。


薄い布でも、足指の位置は変わります
そこで注目したのが、布です。 ストッキングのような薄い布でも、 足指の位置は変わります。

そして、 足を包む条件が変わると、 足裏の形にも違いが現れます。

薄い布でも足指の位置が変わる。 その変化が足部全体へつながるのなら、 布そのものを、足の動きを設計する道具として使える。 そう考えました。
アーチの形を支えるより、足指が動く方向をガイドする
変わってしまったアーチの形に合わせるだけでなく、 薄い布で、 足指が動く方向をガイドする。 その結果として、 荷重したときにも足部が支えやすい状態をつくる。 これが、この発想の中心です。


靴下を「衣類」ではなく、足の動きをつくる道具として考える
考え方は、とても単純です。 足指が動く方向が変われば、 足部の構造や身体の動きも変わる。 だから、 靴下の形から考えるのではなく、 履いたあとの足がどう動くかから形を考える。 まぼろし工房では、 その考え方で設計を続けています。
実際の動作でも、 足指の条件を変えたときに違いが現れるかを確認しています。
まとめ|足を支える場所から、足を動かす方向へ
足を包むインソールという発想から始まり、 足指の位置、 薄い布、 足部の構造へと考えを進めてきました。 足裏の形だけを見るのではなく、 足指がどの方向へ動くかを見る。 この考え方については、 まぼろし工房の足部工学理論で詳しく解説しています。

