新品のランニングシューズに替えた直後、かかとの横、スネ、足裏、膝に痛みが出ることがあります。 このとき、足の筋力やランニングフォームだけでなく、シューズの形と転がる方向も確認します。 新品のシューズは、まだ足に馴染んでいないためです。
新品のシューズは、まだ誰の足にも馴染んでいません
シューズを新しくする目的は、すり減った底やクッションを新しい状態へ戻すことです。 ただし、新品のシューズには、まだ自分の足による「当たり」がついていません。 特に確認したいのが、踵を包むヒールカップと、地面に接する踵部分です。
踵の当たりがつく前は、シューズが斜めに転がることがあります
新品の状態では、踵の角やクッション材がまだ十分に沈んでいません。 そのため、着地する位置によっては、シューズが予定していない方向へ転がることがあります。
踵の一部が沈んでいないと、シューズは安定した方向へ転がりません。
緑の丸で囲んだ部分が沈まず、角として残っています。 シューズの倒れ方が変わると、足首や膝の動きも変わります
シューズが斜めに転がると、その上に載っている足も同じ方向へ動きます。 足の向きが変われば、足首や膝にもねじれが加わります。 小さな変化でも、歩行やランニングでは同じ動作が何度も繰り返されます。
新品のシューズで、着地の向きが変わった例
次の画像は、かかとの横とスネの外側に痛みがあった中学生ランナーの着地です。 シューズを履かない状態では、つま先は進行方向を向いていました。
シューズを履かない状態では、つま先は進行方向を向いています。 新品のシューズを履くと、着地したときのつま先が内側を向きました。
新品のシューズでは、つま先が内側を向く「トゥーイン・ニーアウト」が見られました。 この場合、変わったのは走り方の意識ではありません。 シューズを履いたことで、着地後に足が誘導される方向が変わっています。
新品へ替えたときは、サイズと屈曲位置も変わります
新品のシューズで痛みが出たときは、「馴染んでいないから」と決めつけず、サイズと足が曲がる位置も確認します。 次の例では、シューズを新しくしたあと、親指と足の裏にピリピリとした症状が出ました。 シューズの表記サイズは26.5cmでした。
インソールを取り出して測ると、長さは27.6cmありました。 本人の足長は25.6cmです。
表記サイズだけでは、シューズ内部の長さや足が動く量までは分かりません。 シューズが大きくても、足が前へ滑れば、つま先はシューズの先端に当たります。 この例では、ベロの角度とアッパーの形によって、足が前へずれ込んでいました。
シューズが曲がる方向も確認します
シューズには、足の指と一緒に曲がる屈曲面があります。 この屈曲面が斜めを向いていると、蹴り出すたびに足も同じ方向へ誘導されます。
屈曲面が外側へ向いた状態。
屈曲面が正面を向いているシューズとの比較。 新品のシューズは、走る前に3つの動きを確認します
新品のシューズを履く前に、次の3点を確認します。
- 踵を押したとき、シューズがどちらへ転がるか
- 靴紐を緩めて足を入れたとき、踵がヒールカップに収まるか
- シューズを曲げたとき、屈曲面が正面を向いているか
そのうえで、短い歩行や軽い走行を行い、つま先の向きや身体の傾きを確認します。 いきなり長い距離を走るより、短い動作からシューズの反応を見たほうが、変化に気づきやすくなります。
シューズの形を整えた前後の比較
Aは調整前、Bはシューズの形を整えたあとの走行です。 まぼろし工房では、ヒールカップ、アッパー、ベロの位置を確認し、足がまっすぐ収まるようにシューズの形を整えます。 そのあと、片足立ち、歩行、走行を行い、足と膝がどちらへ動くかを確認します。
休んでも繰り返すときは、同じシューズを見直します
走るのを休むことで、痛みが一時的に軽くなることはあります。 ただし、痛みが出たときと同じシューズを履き、同じ方向へ足が誘導されれば、歩行やランニングを再開したときに同じ負担が繰り返されます。 休むことと、痛みを生んだ動作を確認することは、分けて考える必要があります。
まとめ
新品のシューズは、まだ自分の足に馴染んでいません。 痛みが出たときは、足の筋力だけでなく、踵の転がる方向、サイズ、足の滑り、屈曲面を確認します。 「新しいから大丈夫」ではなく、新しいときほど短い動作から確認することが大切です。