足のアーチが低下すると、その動きは足首、スネ、膝へと連動します。
その結果、外反母趾、足底腱膜炎、後脛骨筋炎、シンスプリント、膝の痛みなどにつながることがあります。
このページでは、アーチの低下によって生じた動きが、足元から身体へどのように伝わっていくのかを、順番に見ていきます。
足元・足裏のトラブル
アーチが潰れて平らになると、足裏の組織や骨に不自然なストレスが集中します。
足底腱膜炎(そくていけんまくえん):
アーチが下がることで足裏の膜(足底腱膜)が常に引き伸ばされて微細断裂を起こし、踵(かかと)の周りに激痛が走ります。
外反母趾・内反小趾:
足の横アーチも一緒に崩れてベタッと広がる(開張足)ため、靴に圧迫されて親指や小指の関節が変形しやすくなります。
タコ・ウオノメの発生:
荷重バランスが崩れ、特定の骨(特に人差し指や中指の付け根)が地面に強く擦れるため、皮膚が防御反応で硬くなります。
ふくらはぎとアキレス腱の過労
腓腹筋・ヒラメ筋の過緊張:
ウインドラス機構が働かないため、足裏のバネを使えず、ふくらはぎの筋肉を過剰に「能動的」に収縮させて進まなければならなくなります。
アキレス腱炎:
踵骨が正しくコントロールされずグラグラと傾くため、アキレス腱が斜めに引っ張られて微細な炎症を繰り返します。
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎):
足元が内側に倒れ込む(過回内)ことで、すねの内側の筋肉や骨膜が強く引っ張られ、走ったり歩いたりするときに鋭い痛みが生じます。
膝・股関節・腰への連鎖(運動連鎖の破綻)
足のアーチ崩壊は、下半身全体の関節の噛み合わせを狂わせます。
ニーイン(膝の内方倒れ込み):
内側の縦アーチが潰れると、踵が内側に傾き、それに連動して脛(すね)と大腿骨(太ももの骨)が内側に捻じれます。これにより、歩くたびに膝が内側に入り込む「ニーイン」が発生します。
変形性膝関節症・鵞足炎:
膝が内側に捻じれることで、膝の関節軟骨が不均等にすり減ったり、膝の内側の腱(鵞足)が摩擦で炎症を起こしたりします。
骨盤の傾きと腰痛:
左右のアーチの崩れ方に左右差があると、骨盤の高さが狂います。これを上半身で無理に補正しようとするため、慢性的な腰痛や肩こりへ繋がります。
足のアーチ低下は、足元から膝まで連動します
足のアーチ低下に関連する疾患には、 ・外反母趾 ・足底腱膜炎 ・有痛性外脛骨 ・後脛骨筋炎 ・シンスプリント ・鵞足炎 ・腸脛靱帯炎 ・半月板損傷 などがあります。
大腿骨を含め、人の片側の「自由下肢骨」。 つまり、骨盤を除いた脚の部分には、合計30個の骨があります。 それらの骨は、足からスネへ、スネから太ももへと、筋肉でつながっています。
足のアーチは、内側へ倒れ込むように低下します
足のアーチは、足が内側へ倒れ込むようにして低下します。
👉️アーチの低下とは、どのような状態なのか
足が内側へ倒れると、つま先は外を向きます
足が内側へ倒れると、つま先は外側を向きます。
足底腱膜への負担が増えます
この動きが繰り返されることで、足底腱膜への負担が増え、足底腱膜炎が起こりやすくなります。
👉️足底腱膜炎は、なぜ痛くなるのか 👉️歩くと内くるぶしの下が痛む|有痛性外脛骨 👉️ランナーの後脛骨筋炎|体の外にある痛みの原因
外反母趾をつくる方向へ力が加わります
足が内側に倒れると、親指の付け根にあるMP関節は引き伸ばされます。
その状態で体重がかかると、外反母趾をつくる方向へ力が加わります。
スネには、ねじれる力が加わります
スネの骨が回転したまま荷重がかかると、スネの内側には、ねじれる力が加わります。
この動きが繰り返されると、シンスプリントや疲労骨折が起こりやすくなります。
👉️シンスプリントは、仕組みを理解しましょう
アーチが倒れ込むほど、後脛骨筋の負担は増えます
アーチが低下すると、足首は内側に倒れ込みます。
行き過ぎて倒れ込むと捻挫をするので、これをワイヤーロープのようにつなぎ止めているのが後脛骨筋です。
アーチが内側に倒れ込む動きが増えると、後脛骨筋は多く使われ、後脛骨筋炎が起こりやすくなります。
トゥーアウトは、膝の動きにも連動します
ここまで説明してきた、 足が内側へ倒れ、つま先が外を向く動き。 これをトゥーアウトといいます。
トゥーアウトによってつま先が外を向くと、足首の傾きと太もものねじれが逆方向へ連動する「運動連鎖」が起きます。
解剖学的には、これを「Knee-in & Toe-out(ニーイン・トゥーアウト)」と呼びます。
ニーイン・トゥーアウトで、膝にねじれストレスが加わります
つま先が外を向き(トゥーアウト)、膝が内に入る(ニーイン)と、膝の関節が雑巾のように絞られる「ねじれストレス」が加わります。
膝関節は本来、「前後の曲げ伸ばし」には強いですが、「ねじれ」には弱い構造をしています。 この動きが繰り返されることで、鵞足炎や靱帯損傷、半月板損傷が起こりやすくなります。
ここまでは、インターネットでもよく説明されていることです
「アーチが低下すると、鵞足炎や腸脛靱帯炎などにつながる」 ここまでは、インターネット上の解説でも、よく書かれている内容です。
👉️ニーインとは|膝が内側へ入る仕組み 👉️鵞足炎|膝の内側に痛みが出る仕組み 👉️腸脛靱帯炎|膝の外側が痛くなる原因
では、なぜ足のアーチは低下するのでしょうか?
ところが、 「なぜ、足のアーチは低下するのか?」 その根本の部分になると、説明は急に曖昧になります。 「疲労」「老化」「肥満」「運動不足」などが挙げられ、肝心な「正常なアーチの高さは?」と質問しても、 「原因には個人差があり、特定できない」 とまとめられてしまいます。
足のアーチが崩れる原因や、足元から身体へ力が伝わる仕組みは、次のページで詳しく解説しています。
👉️アーチ低下の原因と構造 👉️まぼろし工房の足部工学理論