シンスプリントでは、トウ角の異常が観測されます
すねの内側に痛みがある患者さんの歩行やランニングを観察すると、片脚で体重を支えるタイミングで、つま先の向き(トウ角)の異常が観察できます。
立っているときは正常に見えても、歩いたり走ったりすると異常が現れることがあります。
歩行では、反対側の足の動きも影響するためです。
片足で体重を支えるタイミングでは、すねの外側に足の指が概ね2本見える状態を基準にします。
正常な歩行やランニングでは、つま先がやや外を向いて着地しても、最後には進行方向を向いて地面を蹴り出します。
この一連のローリング運動を「アオリ運動」と呼びます。
一方で、つま先が外を向いたまま前へ進むと、身体の進行方向とつま先の向きが一致しません。
そのため、スネの骨にはねじれを伴う力が加わります。
トウ角の異常をもたらす3つの原因
すねの内側を痛める原因となる「トウ角(つま先の向き)の異常」は、主に、
① 身体のアラインメント
② シューズの不適合・装着不良
③ ソックスによる足指の拘束と支持基底面の変形
この3つの条件に分けて確認します。
さらにランニングでは、
④フォームを誤認すると、トウ角が大きく変化します。
1.身体のアラインメント
これは、内スネの痛みを訴えて来院した高校生のダブルリフトです。
踵が真上ではなく、横へ逃げるように上がっています。
内スネに痛みがある方では、同じような踵の動きが観測されます。
一方、こちらは問題なく走れるようになったときの、同じ患者のダブルリフトです。
踵は横へ逃げず、ほぼ真上へ上がっています。
踵がどの方向へ上がるかは、トウ角の異常を確認する一つの指標になります。
2.シューズの不適合・装着不良
これは、内スネの痛み(疲労骨折)を繰り返して来院した大学陸上部の選手が、時速8kmで走行している様子です。
素足では正常なトウ角が確認できますが、シューズを着用すると、トウ角の異常が現れました。
このように、内スネの痛みを考えるときは、身体だけでなく、シューズなどの用具によってトウ角が変化していないかも確認します。
3.ソックスによる足指の拘束と支持基底面の変形
ソックスによって足の形が変わると、身体を支える支持基底面も変わります。
支持基底面が変われば、その上にある身体の重心も変化します。
私たちは、この課題を解決するための道具として、**「ラクちんソックス」**を作りました。
痛みを生む負担を、物理から確認します
これは、内スネの痛みを訴えて来院した大学陸上部の選手の片足立ちです。
履いているソックスの違いによって、アーチの低下とトウ角の変化が観測されました。
痛みには、複数の要因が関係します。
だからこそ、一つずつ切り分け、総合的に確認することが問題解決の糸口になります。
筋肉の硬さや炎症は原因ではなく結果
筋肉の硬さや炎症は、痛みの原因ではなく、一か所に負担が集中した結果です。
この前提を間違えると、対処の方法も変わります。
なぜそこに負担が集中したのか。その仕組みを理解すると、直し方も見えてきます。
足元からスネ、膝、身体へ力が伝わる仕組みについては、まぼろし工房の足部工学理論で詳しく解説しています。