歩いたり走ったりすると、踵が痛い。
裸足で歩くと痛む。
サッカーや運動のあとに痛みが出る。
スパイクを履いて走ると、踵が痛くなる。
このような症状が成長期の子どもに現れた場合、シーバー病(踵骨骨端症)が疑われることがあります。
シーバー病は、成長途中にある踵の骨へ、アキレス腱の牽引や着地の衝撃が繰り返し加わることで起こる踵の痛みです。
このページでは、成長期の踵に痛みが起こる仕組みと、歩行・着地動作から確認するポイントを解説します。

シーバー病は、成長途中の踵に起こる痛みです
子どもの踵骨は、最初から一つの硬い骨として完成しているわけではありません。
成長期の踵には、骨が成長していくための踵骨骨端核があります。
踵骨骨端核には、ふくらはぎから続くアキレス腱が付着しています。
走る、跳ぶ、蹴る動作を繰り返すと、アキレス腱が踵骨骨端核を引っ張ります。
さらに、地面へ着地するときの衝撃も踵へ加わります。
この牽引と衝撃が繰り返され、踵に痛みが現れた状態がシーバー病です。

レントゲン画像だけでは、シーバー病とは判断できません
レントゲンでは、踵骨骨端核の分節や硬化像が見られることがあります。
しかし、このような画像所見は、踵に痛みのない子どもにも見られます。
そのため、画像だけでシーバー病と判断することはできません。
実際に痛みが出る場所、運動との関係、踵を押したときの痛み、歩き方などを一緒に確認します。

成長とアキレス腱の牽引、着地の衝撃が踵へ負担を集めます
アキレス腱が踵を繰り返し引っ張ります
ふくらはぎの筋肉は、アキレス腱を通じて踵骨へ付着しています。
走る、跳ぶ、つま先立ちをする動作では、ふくらはぎの筋肉が収縮し、アキレス腱が踵を引っ張ります。
この牽引が成長途中の踵へ繰り返し加わると、踵骨骨端核の周辺に痛みが現れます。
身体が急に成長すると、筋肉と腱の張力も変わります
成長期には、骨の長さが短期間で大きく変化します。
骨の成長に対して、筋肉や腱の長さと柔軟性がすぐに対応できない時期には、ふくらはぎやアキレス腱の張力が強くなります。
そこへ走る、跳ぶ、蹴る動作が重なると、踵へ加わる牽引力も大きくなります。
膝を伸ばしたまま着地すると、踵へ衝撃が伝わります
正常な歩行では、踵が地面へ着いたあと、膝や足首を使って衝撃を受け流します。
シーバー病の子どもの歩行を観察すると、次のような着地が見られることがあります。
・膝を伸ばしたまま踵を着いている
・踵骨の尖って見える部分から着いている
・足を大きく前へ振り出している
・高い位置から足を落とすように着地している
このような歩き方では、着地の衝撃を膝や足首で受け流しにくくなり、踵へ力が集中します。
踵の接地位置は、身体全体の動きによって変わります
踵が痛むと、踵やふくらはぎだけに原因を探したくなります。
しかし、踵が地面へ着く位置や強さは、足を前へ運ぶまでの身体全体の動きによって決まります。
片足で身体を支えたときに体幹が傾く。
骨盤が左右へ動く。
膝が内側へ入る。
足が身体の外側や内側へ振り出される。
このような変化があると、踵が地面へ着く角度や位置も変わります。
シーバー病を繰り返すときは、痛む踵だけでなく、その一歩前から歩行全体を確認します。

ふくらはぎを緩めるだけでは、着地動作は変わりません
ふくらはぎやアキレス腱の張りが強い場合、マッサージやストレッチによって、一時的に張りが軽くなることがあります。
ただし、膝を伸ばしたまま着地する、身体が傾く、踵の一部へ衝撃が集中するといった動作が残れば、同じ負担は繰り返されます。
筋肉の硬さと、踵へ負担を集めている動作を分けて確認します。
シーバー病では、痛みの場所と歩行動作を確認します
シーバー病が疑われるときは、まず踵のどこに痛みがあるかを確認します。
そのうえで、歩行や片足立ちを観察します。
・踵の後ろや下を押すと痛むか
・歩くときに足を引きずっていないか
・痛みを避けるため、つま先で歩いていないか
・膝を伸ばしたまま踵を着いていないか
・片足で立ったときに身体が傾かないか
・左右の腕が同じように動いているか
・シューズを履いたときに痛みが増えないか
一つの検査だけで判断せず、痛みと動作を合わせて確認します。


痛みを落ち着かせながら、踵へ負担を集める条件を見直します
運動後に踵の痛みが強くなる場合は、痛みを我慢して同じ練習を続けるのではなく、走る量やジャンプ動作を調整します。
同時に、痛みを引き起こしている動きや装備を確認します。
・踵へ強い衝撃が加わる歩き方や走り方
・身体の左右への傾き
・膝を伸ばしたままの着地
・足に合っていないシューズやスパイク
・硬い路面での繰り返し練習
・急に増えた練習量
これらを一つずつ確認し、踵へ負担を集めている条件を減らしていきます。


シーバー病は、踵をかばうだけで終わらせず、子どもの身体がどのように立ち、歩き、走っているかを確認する機会でもあります。
強い痛みや腫れがある場合は、医療機関で確認します
足を地面へ着けないほど痛い。
安静にしていても痛みが続く。
踵が強く腫れている。
発熱や赤みを伴っている。
転倒や衝突のあとから痛みが始まった。
このような場合は、シーバー病だけでなく、骨折や感染症なども含めて医療機関で確認してください。
まとめ|シーバー病では、成長期の踵と着地動作を一緒に見ます
シーバー病は、成長途中にある踵骨骨端核へ、アキレス腱の牽引と着地の衝撃が繰り返し加わることで起こる踵の痛みです。
運動後に踵が痛む、裸足で歩くと痛い、スパイクで走ると痛いといった症状が見られます。
レントゲンで分節や硬化像が見られても、痛みのない子どもにも同じ所見があるため、画像だけでは判断できません。
確認するのは、
・踵のどこが痛むか
・運動後に痛みが強くなるか
・膝を伸ばしたまま着地していないか
・踵の一部へ衝撃が集中していないか
・片足で立ったときに身体が傾かないか
・シューズや練習環境が合っているか
です。
痛む踵だけでなく、足が地面へ着くまでの身体全体の動きを見ることで、踵へ負担が集まる条件が分かりやすくなります。
踵へ負担が集まる動きを、足だけでなく身体全体の運動連鎖から考える仕組みは、まぼろし工房の足部工学理論で詳しく解説しています。
