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滑液包炎

滑液包炎/かつえきほうえん

概要:滑液包炎とは

 

腱(けん)は筋肉と骨をつなぎ、靭帯は、骨と骨をつなぎます。

腱は、丈夫な帯状の結合組織であり、筋肉の両端をしっかりと骨につなぎ留めています。腱は、さやに包まれていることが多く、さやは滑らかで、腱が摩擦なしに動くことを可能にしています。

 

 滑液包は、液体の詰まった小さな袋で、腱の下に存在していることがあり、腱の衝撃を吸収して損傷から守っています。

 

滑液包は、隣接する構造の間に生じる衝撃も吸収し、例えば、骨と靱帯との間や、骨の隆起部(肘、膝の皿、肩など)とそれを覆う皮膚との間の摩擦を防ぎ、すり減ったり断裂したりするのを防いでいます。

滑液包は関節付近の摩擦を受けやすい場所にあり、これによってストレスなく関節運動を行うことができます。

●滑液包炎には、急性なものと、慢性なものがあります。

滑液包炎は、滑液包に物理的な刺激が加わることにより、急性または慢性の炎症を起こすものです。

慢性的なものには、痛風や、感染症によるものもありますが、ランニングやスポーツでおきる滑液包炎は急性なものがほとんどです。


滑液包炎の原因

一般的には、過度なトレーニングによるオーバーワークが原因と言われています。

 しかし、片足だけに痛みが出たり、いつもどおりの練習量を行っていても痛くなる例が多く見られます。

 

●原因は使いすぎとは限らない。/滑液包炎

シューレースの形状

シューレース(靴ひも)の形状により引き起こされているものをよく見かけます。楕円の紐は滑液包を圧迫しやすいので、平紐を使う事をお勧めします。

左から、平紐、楕円紐、丸紐

シューレースの摩耗・使用限界

 

 競技中、常に変化し続ける足の形に、シューズが追従しシューズの形が変化できるように、シューレースは伸び縮みする素材で作られています。

古くなったシューレースや、紐の捻じれは、滑液包炎や腱の痛みを誘発します。

シューレースは消耗品です。古くなったり、伸びきってしまって伸び縮みしなくなったシューレースは交換して使いましょう。また、捻じれている紐は捻じれを直すか交換しましょう。

シューレーシング不良 01 /滑液包炎


 

パラレルやシングルスで編むと、紐が腱を押さえてしまうことがあるので、スポーツシューズはオーバーラップかアンダーラップで編むのが基本です。

パラレル

オーバーラップ

アンダーラップ



シューレーシング不良 02 /滑液包炎

 

 実際に滑液包炎の痛みを訴えて来院した高校生のシューズです。

痛みを訴えた左側のシューズだけ、靴ひもが、最後の穴を上から下に通しています。

最後の紐を上から下に通してしまうと、紐を結ぶときの最初のこま結びが、シューズのベロを直接押さえてしまう為、足首の腱に強いストレスを与えてしまいます。

 好みにもよりますが、ベロを直接押さえたほうが、シューズの固定力は増すので、陸上の100mスプリントなどの競技では行うことがありますが、通常は行いません。


オーバーサイズのシューズ/滑液包炎

 

 シューズによる締め付けが原因で引き起こす足の甲の痛みは、オーバーサイズのシューズを使用しているケースが多く見られます。

 

サイズの大きいシューズ、小さいシューズ、ワイズが合っていないシューズの使用も滑液包炎の原因となります。

 

 

 

サイズの大きいシューズを固定しようとする為、紐でキツく締めすぎてしまうからです。

 

シューズは紐で締めるのではなく、サイドマテリアル(シューズの布の部分)全体で、足を包み込むように包むのが正解です。


ワイズが大きいシューズの使用/滑液包炎

 

 シューズのワイズとは、横幅のことではなく、周径のことをいいます。

競技をやるうえで、ワイズを知る事はとても重要です。

競技としてやるなら、この辺り、しっかり計測してくださいね。それも「競技」です。

ワイズが大きすぎると、余ったベロがシワになり、足の甲の腱を締め付けてしまうことがよくあります。

鳩目飾り(靴ひもの穴を通す部品)が閉じきってしまうのも滑液包炎を引き起こしやすくなります。


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