コンパートメント症候群/こんぱーとめんとしょうこうぐん
概要:コンパートメント症候群とは
・スポーツや事故などによる打撲・骨折・脱臼などがきっかけで生じます
出血などで下腿の組織内圧上昇→筋肉内細動脈の血行障害→筋腱神経組織が壊死に陥る
・一度組織が壊死に至る→機能障害は永久的に残るため、初期の迅速な判断が重要になります
・全身では特に下肢に好発します ※内圧が上昇しやすいため
①前方コンパートメント障害 ※最も頻度が高い
前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋
②側方コンパートメント障害
長・短腓骨筋
③浅後方コンパートメント障害
腓腹筋・ヒラメ筋・足底筋
④深後方コンパートメント障害
後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋 に分類されます
原因
・好発スポーツ:急性的→スキー・ラグビー・バスケットボールでの骨折・打撲時
慢性的→陸上長距離・サッカー
・好発部位:前腕・下腿・大腿部・・・多くの筋肉が存在するためです
・筋肉組織などの腫脹が起こり区画内圧が上昇する→筋肉・血管・神経などが圧迫される
→循環不全による壊死・神経麻痺をきたします
どんな痛み?(症状)
・各部位での疼痛・腫脹・圧痛・硬結・(他動的)運動時痛・他動的運動痛
コンパートメント内にある神経麻痺による知覚麻痺
①前方コンパートメント障害:疼痛・腫脹・圧痛→下腿前外側 深腓骨神経領域の知覚障害→第1・2足趾間
筋力低下→足関節背屈(前脛骨筋・趾伸筋) 他動的運動時痛→足関節・足趾の底屈時
②側方コンパートメント障害:圧痛→外側 浅腓骨神経領域の知覚障害→下腿外側
筋力低下→足関節外がえし・外反(長腓骨筋) 他動的運動時痛→足関節内返し・内反
③浅後方コンパートメント障害:圧痛→ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋) 腓腹神経支配領域の知覚異常
筋力低下→足関節の底屈(腓腹筋・ヒラメ筋) 他動的運動時痛→足関節の背屈
④深後方コンパートメント障害:圧痛→下腿内側 脛骨神経領域の知覚障害→足底内側
筋力低下→後脛骨筋・足趾伸筋 他動的運動時痛→足趾の背屈
検査診断
一般的な検査法は以下の通りです
・ニードル・マノメーター法(needle manometer):血圧計・中心静脈圧測定方法による内圧の測定
針を各コンパートメントに刺す→30mmHg以上で確定
・レントゲン:原因となる骨折・脱臼の有無を確認
・MRI:血腫の有無を確認
治療
・急激な疼痛や腫脹、変形がある場合は、直ちに病院医療機関に搬送しましょう
・応急処置:RICE処置を行います・・・局所の安静・冷却・固定・挙上
・コンパートメント症候群の症状の把握+骨折などの原因を把握して対処します(骨折の整復など)
・手術:内圧が50mmHg以上の場合→手術適応
30mmHg以上が数時間経過する場合→コンパートメントの筋膜切開術(内圧を低下させる)を考慮します
切開した皮膚・筋膜は開放したままにしておきます
リハビリテーション
慢性例
・ストレッチ:前脛骨筋や腓腹筋、腓骨筋など
練習前後の管理を十分に行う
〈参考記事〉前脛骨筋のストレッチ
・筋力トレーニング
エキセントリックな筋力訓練は避け、
コンセントリック筋収縮訓練を中心に行う
・術後:約1ヵ月でランニング復帰をメドとする
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