愛知県から御来院いただきました。フルマラソン・右足の裏の痛み(足底腱膜炎)です。
練習もレースにも、フラットシューズを使っていました。フラットシューズはその特性からシューズの裏の削れ方でいろんな事が見えてきます。 2018/09/07
シューズの削れ方から、トゥー・アウト(つま先が外を向く動き)を起こしている事が予想できます。
治療前のフォームです。
・右の肩が落ちています。
・トゥー・アウト(つま先が外を向く動き)を伴い、アーチが倒れ込んで走ります。
足底筋膜炎(足底腱膜炎)を引き起こす原因
足底筋膜炎は、アーチが落ちているのが原因(偏平足)と言われるのが通説ですが、私はそうとも思いません。
患側(痛む側)のフットプリント
患側のフットプリントです。アーチは落ちていませんでした。
足の裏が痛いのはアーチの落ちこみが原因と思い込み、確認することなくアーチサポーターを処方する医療機関が多いのですが、思い込みは判断を鈍らせ、症状を長引かせるばかりではなく、他の故障を誘発します。
思い込みを捨て、よく見ることが大切です。
痛くない左足のフットプリント
痛みが無い方の左足のフットプリントです。
酷くアーチが落ちていました。
ランニング疾患は動作の異常を見つけ出し、治す事が必要です。
時速6km/hの右足のボトム デスセンターを5枚拾い出しました。
右の肩が随分下がっているのが解るでしょうか?
ランニングは左右対称の動作が理想です。
左右の非対称性は、痛みがある無しに関わらず、故障があると私は考えます。
肩が下がって見えるのは、体を右によじって走っているからです。
体幹のよじれに従ってトゥ・アウトを引き起こしています。
トゥ・アウトに伴って、アーチは倒れ込み、患側(右足)の足の裏の煽り運動が
正常に行えていませんでした。
これらは、足底筋膜炎やシンスプリントを引き起こす原因になります。
正常な走り
捻じれた走り
体を斜めに向けたまま走るイメージです。とても無理な走り方です。
体が正面を向いていないのに、足を進行方向に向けると、足は体の正中線より中に入る事になります。
足が正中線より中に入ると、アーチの倒れ込みが発生しますので、シンスプリントや、足底筋膜炎の原因となります。
無理な走りが足首や膝を捻ればシンスプリント、ランナーズ・ニー(膝の痛み)を誘発し、足の裏の後足部と前足部を捻じれば足底腱膜炎、拇指で捻じれば外反母趾になるのではないでしょうか??
痛む側のアーチは正常でした。しかし、動作には異常がありました。
- 走るとアーチが倒れ込みます。
- トゥー・アウト(つま先が外を向く動き)が見られました。
今回の足の裏の痛み(足底筋膜炎)は上記の理由により引き起こされていたと思われます。
トゥー・アウトや、アーチの倒れ込みを引き起こす原因にはいくつもの原因があります。
中には反対の足の故障が起因するものもあります。その場合、対処できる医療機関が少ないようです。
左足の片足立ちです。アライメントを修正しました。
治療前と後のフットプリントの変化です。アーチが少し回復しました。
機能が低下したアーチは立脚時に体幹を傾斜させ、それによって体がよじれ、反対の足の着底異常を生みだします。
治療前のフォーム
治療後のフォーム
体幹の軸のブレが収まりました。
治療前
治療後
つま先の向きの変化がお解り頂けるでしょうか?
〈治療経過〉 この一か月後に再び御来院くださいました。 治療後、足底筋膜炎の痛みはすぐに消失したとの報告をいただきました。
このように、ランニング動作は両足で行われる一連の動作の結果です。今回、お悩みの足の裏の痛みは右足でしたが、反対の足が影響している事が多くあります。痛みの全ては必ず原因があります。原因を見つけ出し、痛みを引き起こしている動作を治す必要があると私は考えています。
〈参考記事〉足底筋膜炎(足底腱膜炎)のリハビリテーション
〈参考記事〉足底筋膜炎(足底腱膜炎)のテーピングの貼り方