埼玉県から御来院いただきました。ランナー。主訴:外反母趾の痛みです。
三か月前(2017年12月13日)にもお越しいただき、二回目の来院です。
前回の治療結果と比べながら書いてみます。
下肢に生じるフリーモーメント
外反母趾の親指の付け根の痛みは、足の指の痛みと勘違いされる事が多い痛みです。しかし、体のどこかに異常がある事によって、生理的な歩行のメカニズムが正常に行えず、歩行やランニング時に、一歩いっぽ、母趾を捻られることによって生じていることはあまり多く知られていません。
分析する事の重要性
前回の治療前の歩行と治療後の歩行の変化です。通常の歩行では、足の指を捻じるような動きはしませんが、外反母趾で悩む人の歩行は捻じる動きが観察されることが殆どです。
治療前の歩行 治療後の歩行
フリーモーメント(足の裏を捻じるような動き)は消失しました。
正常な歩行では、一度床に着いた足の裏を捻じるような動きはしません。
人の体は、本来、足の裏と床から生じる捻じる動きを、股関節や腰の動きで打ち消し合うようにできているからです。
足の裏に頻繁にマメができるのは、どこか体に動いていない箇所があるからです。
これは外くるぶし付近の痛みと、腸脛靭帯の痛みを訴えて来院したランナーのシューズです。
関節は定められた正しい方向に動くには壊れませんが、捻じる動きに弱い性質があります。また、骨も捻じる動きには弱い構造でできています。正常な歩行やランニングでは、床から生じるフリーモーメントを体の各場所で打ち消すように作られていますが、体のどこか一部が動いていないために、歩行周期が狂い始めると、様々な故障を生み出します。
床からの摩擦によるストレスは、体の各場所で打ち消し合うのが正常です。
摩擦による足からの捻じれストレスは、外反母趾のような指の痛み、マメ、足趾の痛み、種子骨の痛みなど、
足の痛みだけでなく、足首の痛みや、内スネの痛み(シンスプリント)など下腿の痛み、また、
半月板や前十字、後十字靭帯に過度なストレスを与え続けます。
これらの痛みは、単純に、その部分だけの問題ではなく、その捻じれを打ち消す生理的な動きが生じていることが問題となるのです。ですから、根本的に治す為には、その局所だけに留まらず、カラダ全体のバランスを取り戻す必要があります。
一回目の来院時と、二回目の来院時の治療の変化を比較してみます。
一回目の来院時と、二回目の来院時の治療の歩行の変化を比較してみます。
一回目の来院時と、二回目の来院時の母趾の向く方向の変化を比較してみます。
距骨を中心に引いた赤いラインが、歩く、走るなどの動きに使う足首の運動軸です。
一回目の治療前の歩行(図2)と、二回目の治療後の歩行(図3)に運動軸を書き込むと以下のとおりになります。
(図2)一回目 治療前の歩行
(図3)二回目 治療後の歩行
赤い線(運動軸)が直線になるほど、足関節にストレスがなくスムーズに動きます。
つま先が外を向く(toue out)ほど、フリーモーメント(捻じれの力)は強くなり、外反母趾、足の裏のマメ、
足首の痛み、膝の痛みなどを誘発しやすくなります。
外反母趾などの痛みを根本から取り除くためには、カラダ全体の動きをよく観察し、その原因となっているものを根本から治すことが有効な手段と考えています。
足の痛みの原因は、動いている状態を見ないと解らない事がたくさんあります。
体のバランスや動きを確認しながら、痛みを引き起こしている原因を探し出し、 必要なストレッチや、あなただけのリハビリテーションを提案いたします。メンテナンス次第で体が変わることを実感してください。